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クヌム神

クヌム神 クヌムしん (Khnum)

PCが予め知ってていい情報

 クヌム神は、牡羊の頭部を持つ古代エジプト神。

 上エジプトのアスワン?地方を崇拝の拠点とし、エレファンティネ島に住まうとされた。ナイル川の急湍〔きゅうたん〕と氾濫、ひいては豊穣を司る神。現在、遺っている、最も古い時代の記録に、崇拝の証拠が見られる。

 エレファンティネでは、家族とされた3柱神が、氾濫を司るとされていた。

追加情報

小辞典版推奨判定
「歴史+知性 目標値10〜12」「表現+知性 目標値12〜14」「魔術+知性 目標値12〜14」
やや詳しい情報 アスワン?地方のエレファンティネ島で、急端とナイルの氾濫を司ったクヌム神は、水差しを持つ姿で形どられることが多かった。豊穣を司る神格は、牡羊の姿で描かれたようだ。
 クヌム神と共に家族神とみなされたエレファンティネ島の3柱神とは、クヌム神とヌビア出自とも言われるサティス女神?、アヌキス女神?
 この3柱神崇拝の形成については、諸説あって定説をみていない。
 一説に?、サティス女神が最も古いエレファンティネの祭神で、クヌム神はその陪審だった、とも、サティス女神の方がヌビアから招来されたクヌム神と関連付けられた、とも言われる。
 ともあれ、まず、サティス女神がクヌム神の配偶神とされ、前後するようにアヌキス女神が第2夫人とみなされたらしい。
 後に、アヌキス女神をクヌム神の娘神とする位置付けとされ、エレファンティネ3柱神の家族関係が整えられた。さらに後代、にアヌキス女神の崇拝が高まったが、本来はサティス女神の神格の方が高かった、ということは確からしい。
 エレファンティネ3柱神の関係が整った時期や経緯は、未だ定かにされていない。その時期は、極めて古くに溯ると思われる。
 第18王朝?のトトメス3世?が率いた軍勢が、第5急湍まで侵攻し、氾濫の原因である白ナイルと青ナイルの増水期が、エジプト人に知られるようになっても、「第1急湍でナイル氾濫を司る3柱神」の崇拝は揺らがなかった。
 アスワンの北に位置するエスナ?では、クヌム神は、古い時代から轆轤の上で人間を作った神として崇拝されていた。この神格が、古代エジプト?全土に知られるようになると、各地の神格と習合されながら、複雑に発展。やがて、宇宙を創造した神、とされるるようになっていった。

小辞典版推奨判定
「歴史+知性 目標値12〜14」「表現+知性 目標値14以上」「魔術+知性 目標値14以上」
詳しい情報 エスナ?のクヌム神は、古い時代には、エスナの守護神だった雌獅子の姿のメンヒト女神?の夫神として崇拝されていた。後に、下エジプトのサイスからネイト女神?が移入され、クヌム神の配偶神として高い神格で祀られるようになった。
小辞典版推奨判定
「表現+知性 目標値12〜14」「魔術+知性 目標値14以上」
詳しい情報 轆轤の上で原初の人間を形作ったエスナのクヌム神については、古王国時代?の後の第1中間期?に、人口の減少を憂いた次のような文章が知られている――

かくなりては女は産まず、もはや誰も孕まぬ。クヌムとてこの国のありさまではもはやものをつくらぬ。
 
(訳文は、フランソワ・ドマ、著,大島 清次、訳『エジプトの神々』(文庫クセジュ),白水社,Tokyo,1966.p.45より。「クヌゥム」の表記を「クヌム」に代えさせてもらっています)

 クヌム神が、生命の創造にたずさわった神として、エジプト全土に知られるようになると、エレファンティネとエスナだけでなく、ヘラクレオポリスや、アンティノエなど各地で、同タイプの地方神との関係を説明する神話が唱えられるようになり、神格も複雑に変化していった。
 例えば、第18王朝?のトトメス3世?の代に奉献された銘文は、新王国時代のプター神?への讃歌、及び、太陽神ラーへの讃歌にかなり似ていることが知られている。
 クヌム神の創造神化では、特に、ヘケト女神?と夫婦関係として語られるようになった神格が重要だろう。クヌム神は、神々に依頼され、これから生まれてくる王や、美女のカー?を創造するとの神話が語られるようになったが、この王室神話と関連付けられた神格は、ヘケト女神との夫婦関係で語られた。
小辞典版推奨判定
「歴史+知性 目標値12〜14」「表現+知性 目標値14以上」「魔術+知性 目標値14以上」
詳しい情報 おそらくは、ヘラクリオポリスの神官団が主導したと思われる宗教改革で、クヌム神は、ラーと習合したクヌム=ラーとして、さらに後代には、ラー=アモン=クヌムとして万物を形作った神、と説かれた。
 一方、上エジプトのエスナでは、下エジプトのサイスで両性具有の創造神として崇拝されていたネイト神が、ネイト女神?として移入され、クヌム神の配偶神とされるようにもなった。この変化クヌム神の創造神化と関連しているかもしれない。
 ネイト女神は、エスナにて、高い神格で祀られるようになった。
小辞典版推奨判定
「言語+知性 目標値12〜14」「魔術+知性 目標値14以上」
詳しい情報 「クヌム」の神名は古典ギリシア語?で伝えられたもの。
 古代エジプトでの神名は、「ヘネムー」、または、「フヌム」。この神名は「水差し」を意味した「ヘネム」と関係していると言われる。
 神名の語源は確定されていないが、「結合すること」と関係しているかもしれない。この類の用例はピラミッド・テキスト?に見られる。
 「ヘネム」が「作り上げる」の意味で使われる用例は、降って第19王朝?になってから見出される。
 一説に、「フヌム」は古典ギリシア語?で「ろくろを回すもの」の意味だったかもしれないとも言われるが、この語源論はこじつけめいている、として否認されることもある。

GM向け参考情報

クヌム神の神格

呼称
自称 「エレファンティネの領主」「急端の主人」。「すべてを創造する神の陶工」。
尊称 豊穣を司る神として「交尾の巧みなもの」。
 造物神として「父たちの父」「母たちの母」「乳母たちの乳母」。創造神「クヌム=ラー」として「太陽神の魂」。
 ヌビア?で「弓の民を押し返すもの」。これは、サイス女神とともに、古代エジプトの境界とイメージされたエレファンティネの境界を守護するとされた神格に向けての尊称。豊饒神、造物神としての神格よりは後代のもの。
図像
 牡羊の頭部を持つ男性。顔面、頭部を含めた全身は、黒色または暗褐色に彩色される。クヌム神の頭部は、現存種の丸まった角を持つ羊ではなく、古代絶滅種である、わずかに波打つ角が水平方向に延びた羊の頭部。
 豊饒神としては、水差しを持つ姿、水差しから水を注ぐ姿が描かれる。
 造物神としては、轆轤の上で、ファラオ?のカー?を形づくる姿が描かれる。この際描かれる「ファラオのカー」は、児童を現す姿で描かれ、クヌム神に対する縮尺比率が大きめの人形くらいに対比して描かれる。
 両角にコブラを巻き付けた黒い牡羊の姿で描かれることもある。
 また、セベク神?との関わりで、クヌム神は鰐の身体に牡羊の頭を持つ姿も与えられた。
 他に、世界創造神としては、4つの頭部を持つ黒い牡羊の姿でも描かれるようになった。
 後代の魔術関連の文書では、クヌム神は蛇の姿をとることがある、とされた。
持物
 ヘネム(水差し)、轆轤。
 まれに弓矢を手に持つ図像も知られている。この姿は「洪水神話?」と関係が深い。
神聖動物
 牡羊
聖域
 エレファンティネ島が最も古く、最大の崇拝拠点。
 上エジプトでは、コム・オンボエドフ、エスナ?、テーベ?デンデラ、ヘルモポリス、ヘラクリオポリス・マグナなどで崇拝された。
 他に、下エジプトのメンフィスや、ヌビア?地方でも崇拝された。
主要祭儀
 エレファンティネ島では、「クヌムの水差し(ヘネム)」と呼ばれる神具で、「豊穣の水」を神の前に注ぐ祭儀がおこなわれた。この「豊穣の水」は、島の岩から湧き出すものとみなされた。
 各地の地方神と同一視されたクヌム神は、神が舟で近隣の神殿を訪れる「結合の儀式」で、豊穣を祈念する祭儀が執りおこなわれた。(「結合の儀式」はハトホル女神の「よき結合の儀式」が典型例、「ハトホル女神の項を参照のこと」
関連キャラクター
 サティス女神?は、アヌキス女神?と共に、エレファンティネ島でクヌム神の配偶神とされた。後、アヌキス女神は、クヌム神の娘神とされるようになった。
 エスナでは、当初メンヒト女神?が、クヌム神の配偶神とされた。この2神は、魔法使いとも呼ばれるヘカ神を息子神とした。後代、下エジプトのサイス?からネイト女神?がエスナに移入されると、クヌム神はネイト女神の配偶神とされるようになった。
 アンティノポリスでは、ヘケト女神?がクヌム神の配偶神とされた。ヘケト女神との結びつきで、クヌム神は人間の誕生と運命を司るとされるようになり、「神の陶工」として「ファラオ?のカー?」を形作る神格とされた。
 ナイル川の増水、氾濫と関係することから、クヌム神は、セベク神?と同格の神と扱われるようになっていった。「洪水神話?」で、セベク神は、クヌム神に「鰐の体に牡羊の頭を持つ姿」を与えた。また、ヘケト女神?の配偶神とされたクヌム神はシュウ神?と同一視されるようになり、こちらの神格もナイル川の洪水と結び付けられた。こうして、ヘケト女神とシュウ神の息子、ゲブ神?も、クヌム神の息子神とみなされるようになっていった。
 おそらくは、ヘラクリオポリスの神官団が主導したと思われる宗教改革で、クヌム神は、ラー神?と習合した「クヌム=ラー」として、さらには「ラー=アモン=クヌム」として、「轆轤の上で『すべての源』『世界の卵』を作った世界創造神」と説かれた。このクヌム=ラーの配偶神は、「豊かなる地の女主人」豊穣の太地母神ネプトゥウ女神?とされ。ヘカ神?が息子神として3柱神をなした。
 さらに、世界創造神としての神格は「ラー神、ゲブ神、シュウ神、オシリス神のバウ?が集まるところ」とされた。万物創造神としての神格を現すのが「頭を4つ持つ牡羊姿のクヌム神」。4つの頭は4大神それぞれのバアを意味する。

神話エピソード(断片集)

 クヌム神は、「洪水神話?」との関連が深い神格だった。

 クヌム神は、エレファンティネ島の上流に位置していたビガー島地下の洞穴から、ナイル川をコントロールしていると信じられた。ビガー島は、現在、アスワンダムと、アスワン・ハイダムとの間でフィラエ島に隣接している。

 フィラエ島は、かつてはオシリス神の墓がある、と伝えられ聖域として扱われた島で、人口湖内で堰に囲われ、水没から保護されている。

 あるいは、クヌム神が、年に1度、第1急湍に向かって弓矢を放つことで、氾濫を呼び起こす、との神話も伝えられている。ただし、この神話は、配偶神とされたサティス女神?の神話との習合したものであるようだ。

 サティス女神は、古代ヌビアの射手と関係する女神とも目されるので、あるいは、クヌム神とサティス女神が配偶神とされたのには、弓矢を仲立ちにした連想が働いていたのかもしれない。いずれにせよ、この神話は比較的古い時代のイメージを伝えている、と目されている。


 人間の数が増えると、クヌム神は轆轤で人を作るのが億劫になり、ある日「これから作る女の体内に初めからろくろを仕込んでおき、自分で人間を作らせたらどうだろう」と、思いついた。神がこの思い付きを実行した後、人はクヌム神の手を借りずに子をなせるようになった。

 後代、クヌム神がろくろで形作った「人間」にヘケト女神が「息」を吹き込むと生命を得た、とされるようになった。

 クヌム神は、ろくろから万物を創造した、とも言われる。サイス女神が世界を創造し、クヌム神がろくろで万物を形作ったとされる。普通は、この神話も後代に整えられたものと考えられている。

 後代のクヌム神は、異名として「太陽神の魂」と呼ばれることもあった。クシュ地方では、角の間に日輪を戴いた牡羊が太陽神の神獣とされたが、クヌム神のイメージも関係していたかもしれない。


 クヌム神を含むエレファンティネ3柱神が、エジプト南部の防衛を司る、と言われることもある。これも、かなり後代に生まれたイメージと目されている。古い時代のエレファンティネ島は、国境としてよりも、南方との交易拠点として重要だったからだ。

別称類

 「クヌム」の神名は古典ギリシア語?で伝えられたもの。

 古代エジプトでの神名は、「ヘネムー」、または、「フヌム」。この神名は「水差し」を意味した「ヘネム」と関係していると言われる。

リンク

関連項目

  • サティス女神?
  • アヌキス女神?
  • 「古代エジプトの洪水神話?

活用や検討

活用

検討

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更新日時:2006/02/15 20:17:50
キーワード:
参照:[フィラエ島のイシス神殿] [エレファンティネ島] [エスナ,エジプトの〜] [神話、伝説のキャラクター]
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