タウロス山脈
タウロス山脈
タウロスさんみゃく
- 英語表記
- Taurus Mountains
- フランス語表記
- Monts Taurus
- スペイン語表記
- Montes Tauros
- ロシア語表記
- Тавр
- アラビア語表記
- (調査中)
- 中文表記
- (調査中)
PCが予め知ってていい情報
- 「判定処理なしに、PCが知ってることにしていい」情報とします。
「タウロス山脈」は、現トルコ領南部で、アナトリアの内陸高地部と地中海沿岸部との間を分かち、概ね東西に横たわる山脈。また、付随する山脈(アンチ・タウロス山脈)を含めて広義に用いられることもある。
- 【参照地図】
- タウロス山脈の脊梁線(PHYSICAL ATLAS OF EUROPE,Euratlas)
- Physical Map of Turkey(FREE WORLD MAPS)
- Taurus Mountains(PEAKWARE)
- 【参照イメージ】
- Taurus(LIVIUS.org)
景観写真も数葉掲載されているタウロス山脈の解説ページです。 - Taurus Mountains , Trekking(Trekking - Taurus Mountains / Minare,BallOfDirt.com)
タウロス山脈の西部を越えるトレッキング・ツアーの写真集です。
最初の10枚くらいは、パーティーのキャンプ風景の写真ですが。まあ。PCチームもこんなとこに泊まることがあるかもしれません。
リンク・ボタンを操作していくと、全38葉の内に景観写真も見られます。
追加情報
- 「簡単な判定に成功すればわかる情報」とします。
- 小事典版推奨判定
- 「情報+知性 目標値=8〜10」「生存+知性 目標値=10〜12」
- 簡単な情報 (必要に応じてゲーム前ブリーフィングやブレイクを使いGMから素でプレイヤーに伝えてもいいかもしれない)
- タウロス山脈には、標高3,000m前後の高峰がいくつも連なる。最高峰は3,916mのエルジエス山だが、名称の由来になっているタウロス山も、3,374m。
- 地中海に注ぐセイハン川の中流域以東が、アンチ・タウロス山脈だが、アンチ・タウロスまでを一括して「タウロス山脈」と呼ぶこともよくある。細かくは、セイハン川以西の内陸よりの山域がハイ・タウロス。ハイ・タウロスの南西にクランク気味に接合している山域がボルカー・タウリス。
- 山域は、トレッキングにはかなりきつい。登山装備なしの軽装で踏破できるのは、ボルカー・タウロス西部に連なる低山地くらいだろう。ハイ・タウロスにアタックするなら登山装備は必須だ。
- 狭義のタウロス山脈(ボルカー・タウロスとハイ・タウロス)は、付属山脈まで含めると、アナトリア高地中部の南を縁取り、中央部が南に張り出した弧を描く。セイハン川以東では、梁線の延長が内陸部に食い込んでいくが、その南で支脈がイスケンデル湾沿岸平地の北を縁取っている。
- 小辞典版推奨判定
- 「情報+知性 目標値10〜12」
- やや詳しい情報 第1次大戦の戦後処理で、トルコ共和国は、旧オスマン=トルコ帝国領のほとんどを放棄した。タウロス山脈の南東に位置する地中海沿岸平地は、第2次大戦期に、当時シリア地方を信託委任統治していたフランスが、トルコ側に返還したもの。現在のイチェル県だ。一般に、トルコが枢軸国側に立たないよう懐柔策として返還されたとの説がよく聞かれる。
- シリア=アラブ共和国側では、当然のようにこれを不服としていたが、その後ゴラン高原を巡る問題などが優先されざるを得なくなった。現実問題としては、現トルコ領南東部の地中海沿岸地域のトルコ帰属は既定事実化している観がある。
- 小辞典版推奨判定
- 「歴史+知性 目標値10〜12」
- やや詳しい情報 タウロス山脈は、古くは、歴史的シリア、及びシリア・パレスティナ地域?と、小アジア?地域との間で障壁を成していた。東部と西部の間でセイハン川が流れる鞍部が「キリキア門(キリキアの関門)」と呼ばれた陸路の要衝。
- ちなみに、現在のイチェル県に相当する地域の古代名が、キリキア(地方)。アナトリア高地を経由した多くの勢力がキリキア門を通過後、キリキア地方を経由してシリア地方に至った。古代マケドニア?のアレクサンドロス3世,古代マケドニアの〜?が率いた東征軍も、キリキア門を通過。イスケンデル湾の名はその名残。アレクサンドロスの後継者武将(ディアドコイ)の1人、セレウコスが興したセレウコス朝シリアが王都として遷都したアンティオキアも、現トルコ領に位置していた。
- 小辞典版推奨判定
- 「表現+知性 目標値12〜14」
- 詳しい情報 ギリシア神話では、タウロス山脈の山中にアマゾネスのコロニーがあるように語られていた。ヘレネス?(ポリス時代の古代ギリシア人)の伝えたところによると、アマゾネス一族はかつては、アジアの広い地域を支配していたと言われた。ギリシアから遠隔の黒海沿岸が彼女たちの本拠と信じられたが、リビア、カッパドキア、サモトラケ島、レスボス島、そしてタウロス山脈の山中に、アマゾネスのコロニーや、かつてのアマゾネス侵略団の子孫が居住するかのように、語られていた。
- 小辞典版推奨判定
- 「魔術+知性 目標値12〜14」
- 詳しい情報 タウロス山脈の山中、カッパドキア、サモトラケ島、レスボス島、これらヘレネスがそれなりには知っていた地域――、つまり黒海の彼方やリビアといった遠隔地でない場所で、ヘレネスたちがアマゾネス伝説を伝えていた場所は、すべて太地母神系の古代宗教の聖所があった場所だ。
- タウロス山中のアマゾネスは、山中を通る男を捕えると、すべて女神への生け贄に捧げた、――というのが、ヘレネスたちが恐ろしげに語っていた伝説だ。
GM向け参考情報
用途
タウロス山脈は、普通は交通の障害として使うでしょう。と言っても、古代とは違い現在では交通ルートも整備されているので、軽い障害にしかなりません。普通ならブレイク中に移動を済ませても構わないくらいです。
しかし、あえてタウロス山中に、小さな冒険の舞台を設定して、導入に使ったり、ミッションの焦点となるオーパーツの背景を暗示したりすることもできます。
と、言うのは、もともとタウロス山中は、キリキアや、リュキア、カッパドキアという人里の外縁部に位置した小辺境部だったからです。(カッパドキアを人里と呼ぶかどうかには異論もあるでしょうが)
日本を舞台にした冒険物語との類比で考えてもらっても、いいでしょう。山中は古代だけでなく、現在でも、都市化がさほど進まない地域なわけです。
もちろん山間に小都市もありますが、山中に分け入ると、何か怪しげな秘密が眠っているかもしれない――、そういう、「秘境」と呼ぶにはやや大げさなスポットも、冒険物語では、それなりの使い道があります。
しかも、タウロス山脈は、名だたる遺跡地帯の間に横たわっているのです。これは使えますよ。
普通は、古代カッパドキアを人里とは呼ばないかもしれませんが、カッパドキアを中心に地域をみたとき、その外縁部にさらに秘密めいた存在がいた(あるいはあった)とするのは、冒険物語のフィクション設定としてはドキドキする部類でしょう。
アクションに関しては、山中の山林内に分け入った場合、カー・チェイスなどはできません。サバイバル・ゲーム風の体を使ったチェイスになります。
山岳道路を使っての、カー・チェイスはありでしょう。
戦闘に関しては、少なくともPC側は重火器を使わないレベルでは、派手めの戦闘も可能です。
シュープリームに関しては、ヘリや、ソルジャーを投入し、重火器も用いるでしょうが、こうした作戦は一撃離脱的なものに限定されることを推奨しておきます。
と言うのは、シュープリームの最大のお得意先である米政府は、同盟国としてのトルコとの関係を大変重視せざるを得ないからです。(例えば、トルコ政府はいち早くイスラエルを承認しただけでなく、イスラエル国とも同盟関係を結んでいます)
同じ理由で、山岳路を走行しながらの戦闘は、事後に陰謀組織側が何らかの事故としてた易く隠蔽処理できる範囲のもの、との考え方を提示しておきます。
ポイントは山中と山岳路上では、一般人に目撃される可能性や、隠蔽にかかる手間が段違い、という点です。
- 用途(再整理)
- ミッションの通過点として仕込み、実は手がかりになる伝説をついでのようにNPCから語らせておく。
- ミッションに関る探索の小舞台。
- もし、タウロス山脈を舞台にして、セッションのクライマックスを派手に演出するとしたら、多少の工夫があった方がいい気がします。いろいろ考えてみてください。
- 登場しても唐突でないNPC
- 山中では、どんなNPCでも理由も無く登場すれば唐突です(笑)。例えば、政府の山林管理関係のお役人、環境学者などが唐突ではありません。あるいは、充分な調査目的を設定すれば考古学者のNPCや、NPC調査隊を出しても唐突ではありません。
- 観光客は、普通の旅行者は訪れません。アルピニストが訓練のためにトレッキングをしてる、とか、山鳥を狩るハンターとかが、一応の唐突ではない範囲でしょうか。
- もちろんブルーローズですから唐突なNPCを出していけないと言うことではありません。アマゾネスの隠れ里とかね。リアル・ワールドのタウロス山脈山中には、山岳少数民族は知られていないようですので、出し方には工夫があった方がいいでしょう。
- 遺跡スポット
- 狭義のタウロス山脈山中には、よく知られた有名遺跡はありません。しかし山脈西部で、アナトリア高地からアンタルヤに至るルートの山中に、旧石器時代(末?)の遺物を出土する洞窟遺跡があるそうです。
- ヨーロッパ南東部との文化関係など、重要スポットである可能性が高いようですが、現在のところ日本語の一般向け書籍では詳しい情報を目にしません。
- フィクション設定として、オリジナルの旧石器遺跡を設定した上で、調査員NPCを派遣してもいいでしょう。
- 北方には、カッパドキア地方を控えています。
- カッパドキアで導入をして、ミッションの手がかりがタウロス山脈山中にあるとする処理。あるいは逆に、山中で手にした手がかりがカッパドキでの冒険に結びつく展開などが考えられます。
- 南方には、南西にリュキア地方、ペルガモン王国が存在したアンタルヤ地方が存在。南東には、キリキア地方、アンティオキアが存在したイチェル地方が存在。
- カッパドキア同様、これらの地域と結びつけた展開も有望です。
- 西方には、ネムルト山?の山上墳墓を中心に古代コマゲネ王国の遺跡が存在します。
- やはり、この遺跡をタウロス山脈と結び付ける展開が考えられます。
- もちろん、タウロス山脈を外して、上に挙げた周辺地域間で冒険を準備する手もありますが、そちらについてはここでは言及しません。
アイデア・フック
追加情報に、イメージ・ソースの断片をまぶしておきましたが、ギリシア神話で語られているアマゾネス族のコロニー(?)などのイメージを膨らませて、フィクション設定するのも1つの手です。
地勢
追加情報に記したように、ボルカー・タウロスとハイ・タウロスとは、アナトリア高地中部の南を縁取っています。
梁線の長さ800kmほどで、標高3,000m前後の高峰がいくつも連なっていますが、内陸部の高地からの比高は、標高よりもかなり低くなります。
西部のアンチ・タウロス山脈の山域は定義が人によってまちまちなことには注意してください。(「別称類」の項を参照のこと)
古代アルメニア王国が栄えた地として「アルメニア山地」の地名が、各国で広く通用している一方、アルメニア共和国との間に歴史問題を抱えるトルコでは、アルメニア山地の地名が避けられる傾向がある、というのが背景事情です。
アルメニア山地を広くとると、ザカフジエ地方の一部も含まれるので、トルコでは地名としての使用が避けられる傾向があるようです。
狭い意味でのタウロス山脈の方は、トルコ領内に納まってますので、こうした面倒な議論はないようです。
おそらく、もっとも簡便な整理は「アルメニア山地」を「歴史的アルメニア(の領域)」とみなす、とすることでしょう。
タウロス山脈は、環境としては山林が豊かです。
特に地中海に近い南側に分け入った場合は、「生存+知性」判定に失敗したら道に迷うくらいに扱って構いません。
もちろんPCは、標準装備の携帯電話形衛星無線機を使い、GPS機能で所在を特定することができます。でも、山林内では、現在座標を特定できることと、目的地へ至る道、あるいは来た道を元に辿ることは別問題です。
また、充分注意を払わずに山中を徘徊していた場合、気づかぬ内に超自然的な結界に紛れ込む、何かの亜空間(小形のポケット・ユニバース)に紛れ込む、などの仕掛けをしても構わないでしょう。
ただし、超自然的結界の場合、魔術技能の持ち主が感知できるか判定をする、亜空間の場合、それとない手がかり――例えば、時ならぬ霧とか、特殊な形状の岩の間を通過するなどを仕込んでいくのがフェアなマスタリングというものでしょう。
交通路
- 「トルコ共和国の有用地図集」を相互参照されたし。
- イチェル県方面
- セイハン川?は、アンチ・タウロス山脈の山中を水源に、キリキア門?を南南西に流れ、イチェル県?(古代キリキア地方)の東地中海沿岸に注いでいる。
- もし、アンチ・タウロス山脈の山中から、セイハン川を川下りしよう、とかいうPCチームがいたら、かなり難易度の高い判定での段階処理に挑んでもらおう。
- 実態は調べきれていませんが、ここでは、セイハン川を昇ることは不可能、としておきます。
- 自動車道は、地中海側から、丁度キリキア門の鞍部に位置する山間の町ボサントゥ(人口不詳、1万人未満級)までは基幹道路が敷設されています。ボサントゥから内陸部方向には、カッパドキア?地方のアクサライ(人口不詳、5万〜10万人級)に至る整備のいい地方道と渓谷部を北に向かい、やはりカッパドキア地方に出る山岳路とに連接しています。
- カッパドキア、アナトリア高地と聞くと、荒涼とした風景を想い起す人もいると思いますが、タウロス山脈は、森林が豊かです。特に南側は樹木が密生していると言ってもいい景観になっています。
- イチェル県には、小ぶりとは言え、国際便の周航する空港が2つもあります。だからPCチームがキリキア門を自動車走破するとしたら、ミッションの調査に関るか、チェイスの類かでしょう。
- 現在は、セイハン川に沿うように、カッパドキア地方?の南部から鉄路が通り、地中海沿岸の路線に連接している。
- アンタルヤ県方面
- タウロス山脈を経由して地中海沿岸部に出るルートは、もう1つ、キリキア門より西方で、アンタルヤ?に出るルートもあります。
- このルートの地中海沿岸部は、古代のリュキア地方。アレクサンドロス3世の死後、いわゆるヘレニズム国家の1つペルガモン王国?の領域として栄えました。
- 内陸部アナトリア高地からこちらに至るルートにも、現在は山中を通る基幹道路が敷設されています。
- ちなみに、リュキア(アンタルア)とキリキア(イチェル)の間は、現在は沿岸自動車道が敷設されていますが、タウロス山脈の付属山脈であるアクチャル山脈などが、沿岸まで迫っています。海岸らしい海岸も無い地域です。
- 古代には、このルートを通ると何割かは波に攫われる、と恐れられていました。
- アンタルヤ市 アンタルヤ県県都で、東地中海港に臨む湾都市。人口46万2千人(1993)。B.C.150年頃、ペルガモン王アッタルス2世に創建された。ローマ時代、ビザンツ時代の遺跡が多く、アンタルヤ考古学博物館を擁す。
別称類
アンチ・タウロス山脈については、本文に記したように、山域自体、諸説ある状態です。アンチ・タウロス山脈の山域を最大にみる場合、トルコで「南東山脈(ギュネイドウトロスラル)」と呼ばれる山脈の全域も含めます。これは、各国で「アルメニア山地」と呼ばれる山地の南縁山脈に相当します。
ただし、「アルメニア山地」は普通、古代アルメニア王国などが栄えたヴァン湖周辺の山地帯や現トルコ領外のザカフジエ?地方の山岳地帯までも含まれます。
主要国の言語
- 英語表記=Taurus Mountains
- フランス語表記=Monts Taurus
- スペイン語名=Montes Tauros
- ロシア語表記=Тавр
- アラビア語名の音=(調査中)
- 中国語表記=(調査中)
その他
- 現代トルコ語名=トロス山脈
リンク
関連項目
資料リンク
- Wikipedia英語版:Taurus_Mountains
- Taurus Mountains(EWP)
タウロス山脈の解説ページです。ページの下の方に、Bolkar Taurusと、High Taurusの山域を示す概略地図が掲載されています(2006年6月現在)。(アンチ・タウロス山脈は示されていません)
活用や検討
活用
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参照:[シリア=アラブ共和国] [ランド・マーク] [アジア州のランド・マーク] [エデンの園] [アナトリア] [ヴァン湖] [アイデア・フック] [サルゴン2世]