ユーセフ運河
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中エジプト地方のナイル左岸では、流域渓谷の幅が広がるにつれ、ナイルの川筋に概ね併走するように多数の水路が掘削されている。これらの水路は各所で連絡しながら、地域に灌漑用水と生活用水とを供給している。
現在、アシュート市の辺りでナイル川から分岐した後の水路の内、西側を屈曲しながら流れている水路を「ユーセフ運河」と呼ぶことが多い。
この水路は、古代エジプトの王朝時代に遡る水路で、長い時代の間に、衰退して堆積に分断されたり、再度整備されたりが繰り返された。そのため水路には屈曲が多い。現在は、本来のユーセフ運河と、ナイル本流との間に、近現代に新たに開削された水路も流れている。
水路は、ベニ・スウェーフ県のマディーナ(El-Madina)のあたりからナイル本流から離れはじめ、ベニ・スウェーフ市の西で、大きく北西に屈曲。その後、細かな屈曲もしながら、概ね南東方向から北西流してファイユーム市街に至る。
ファイユーム市の手前あたりから、複数の支流に別れた後水路網をなしてファイユーム・オアシスの各所を潤している。
狭義には、ファイユーム市街に到っている部分までがユーセフ運河とされているが、ファイユーム市を経由した後、本流と呼べる水路は、屈曲しながら概ね北流。クァルーン湖南岸の東部に注いでいく。
ファイユーム・オアシスでユーセフ運河の水利に依存している植生地帯は、概ね1,000平方km以上と言われている。これは、ファイユーム県県域の55%以上にあたり、1,000平方kmとすると、ファイユーム・オアシスを成り立たせている窪地地形の60%弱〜77%ほどにあたる。
【参照地図】
- Egypt,Map(Egypt,Encyclopedia Britanica online)
モエリス湖とユーセフ運河も記されている。
古代にユーセフ運河の前身にあたる水路(運河)が整備されたのは、B.C.2300年頃、第12王朝?期のことと思われる。
この時期に開削された古代水路は、長さ15kmほど深さ5mほど、と伝えられている。現存する水路ほど長くない。これは、明らかに、ナイル渓谷から続いていた天然の水路に手を加える工事したためだからだろう。
ナイル川の増水期に水を導き入れるダムと、減水期に水を導き出すダム、2つのダムも整備され、現在のクァルーン湖を大きな貯水池として利用するインフラが整備された。
B.C.230年頃には、周辺地域の衰微、荒廃した古代水路も、実際問題としては放棄されたようだ。古代のクァルーン湖は乾燥し、現在のクァルーン湖の領域へ縮退していった。
さらに詳しい情報
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古代エジプトの中王国時代以降、広く信じられた古代の歴史伝承では「クァルーン湖は、(第12王朝?の)ファラオ?だったアメンエムハト4世が作った」と、伝えられていた。
アメンエムハト4世は、第12王朝第7代で、王朝最後のファラオの1代前だった人物。その事跡や人物像は今1つ定かに解明されていない。
普通、9年ほどファラオの地位にあった、と推測されるアメンエムハト4世だが、碑文類など同時代の記録は極端に少なく、研究者の内には、先代であるアメンエムハト3世の共治王だった時期の方が、単独ファラオだった時期より長いのではないか、とすら疑う説も聞かれる。アメンエムハト3世の方は40年以上もファラオの地位にあったことがほぼ確実な人物だからだ。
長期間ファラオとして君臨しただけでなく、アメンエムハト3世の代には、ファイユーム地方の地域神だったセベク神?に献じられた神殿が建立された。こうした事を傍証として、古代ユーセフ運河の開削などは、実はアメンエムハト3世の命による、と推測する研究者もいる。
GM向け参考情報
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- 【参照地図】
- Nile North 地図
Al Fayy?m 地図
(北エジプト 地図,Super Travel Net)
ファイユーム運河の本流や、ファイユーム地方での水路網の概要を見てとれる地図。
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参照:[ハワラの遺跡] [ベニ・スウェーフ県] [ファイユーム市] [センウセレト2世] [ファイユーム地方] [ファイユーム・オアシス] [ベニ・スウェーフ市] [マラウィ,エジプトの〜] [ファイユーム県] [ランド・マーク] [アフリカ州のランド・マーク] [ラフーン] [クァルーン湖]