カルパティア山脈
PCが予め知ってていい情報
「カルパティア山脈」は、ヨーロッパ地域東部の内陸地帯で、ハンガリー盆地の外縁を取り巻いている山脈。盆地外縁を、南から、東、北にかけて、大きな弧を描くように取り巻き、縁取っている。
山系は、ルーマニア、ウクライナ、ポーランド共和国、スロヴァキア共和国?、チェコ共和国にまたがって大きな弧を描いている。内側では、一部外縁がハンガリー共和国領内に、西端では延長上の丘陵がオーストリア共和国にも食い込んでいる。
「カルパート山脈」と、呼ばれることもある。
【参照イメージ】
- The Carpathian EcoRegion
カルパティア山脈の最大山系を立体的に示した図が表示されています(2006年5月現在)
Carpathian Photogallery
フォトギャラリーです。
(The Carpathian Ecoregion Initiative)
追加情報
- 小辞典版推奨判定
- 「交流+知性 目標値10〜12」「情報+知性 目標値12〜14」
- やや詳しい情報 ハンガリー盆地を取り巻いているカルパティア山脈は、普通、東カルパティア山脈と、西カルパティア山脈とに大別される。
- ただし、これらは「広義のカルパティア山脈」で、どちらかと言えば、ワールド・ワイドな地理用語、地質学用語になっている。あるいは、エコロジーに関心の強い人たちが使うこともある。
- 山脈がかかる諸国では、ローカルに別の地名で呼ばれている山域が多い。
- 東カルパティア山脈が、ルーマニアとウクライナ領南西端から、スロヴァキア領?西部と、ポーランド領南東端まで、概ね南北に走っている部分が、狭義に「カルパティア山脈」と呼ばれる。
- (単に「カルパティア山脈」と呼んだとき、この山域を指すことも少なくない)
- 「広義のカルパティア山脈」では、こと外縁部に地質時代の火山活動の痕跡や、輝石類の埋蔵が多い。山域には、温泉リゾートやスパが集中しているスポットも少なくない。
- 小辞典版推奨判定
- 「生存+知性 目標値12〜14」「交流+知性 目標値14以上」「情報+知性 目標値14以上」
- 詳しい情報 東カルパティア山脈は、ルーマニア領西端、やや南寄りから東に延び、南麓が首都ブカレスト?の北辺に迫っている。
- ここまでは、「南カルパティア山脈」とも、「トランシルヴァニア・アルプス?」とも呼ばれる。
- また、南カルパティア山脈の西端から、ルーマニア領内部に延びている山塊は、ルーマニア・ローカルでは「西カルパティア山脈」と呼ばれる。これは、ポーランド以西の西カルパティア山脈と紛らわしいので、ワールド・ワイドな地理では、「ルーマニア西カルパティア山脈(Romanian Western Carpathians)と呼ばれる。
- 南カルパティア山脈は、ルーマニアのブカレスト北方で、大きく屈曲。北北西に転じると、ルーマニア領中部を縦断していく。さらにウクライナ領南西端を経て、辺縁部がスロヴァキア?領西部と、ポーランド領南東端とに食い込んで終わる。
- 東カルパティア山脈は、スロヴァキア領東端では、西カルパティア山脈との間に低い鞍部を作って接している。
- 西カルパティア山脈は、スロヴァキアの首都、プラスチラバの北方から東へ向けて大きく弧を描く。
- 西カルパティアは山脈は、南北幅も厚く、ほとんどスロヴァキア領全土を占めている。スロヴァキア領内の山域は「タトラ山地」と呼ばれる。
- この山地は、北麓がポーランド領南辺に、南麓がハンガリー領北辺に広がっている。
- タトラ山地北方の外縁山脈は、「外縁西カルパティア山脈(Outer Western Carpathians)」と呼んで、タトラ山脈と区別する。
- ポーランドでは、外縁西カルパティア山脈の内、自国領南縁に主要部がある山域を「ベスキド山脈」と呼ぶ。ベスキド山脈の西でクランク気味に隣接し、ポーランド領とスロヴァキア領北西部に渡る山域は、ポーランド・ローカルには「西ベスキド山脈」と、スロヴァキア・ローカルには「小ファトラ山脈」と呼ばれる。
- 小ファトラ山脈の西で、チェコ - スロヴァキア国境部のチェコ側に脊梁部のある山域が「白カルパティア山脈」。白カルパティア山脈の南西で、スロヴァキア領西部の北辺に食い込んでいるのが「小カルパティア山脈」
- ちなみに、オーストリア領内北東部に断続して伸びているのは、白カルパティア山脈の延長上にある丘陵。
GM向け参考情報
東西を併せた「広義のカルパティア山脈」全域の平均高は、1000mほど。全山脈の最高峰は、スロヴァキア東部に位置するゲルラホフカ山(標高2,663m)
鉱物資源層が、鉱脈として採掘し易い位置に褶曲している。岩塩、天然ガス、石油、鉄鉱石、他に輝石類も産す。
外縁部では、温泉保養地として知られるスポットが少なくない。
西カルパティア山脈南東部、スロヴァキア、ハンガリー国境部のハンガリー側に、欧州最大と言われる鍾乳洞「アグテレク・カルストとスロヴァキア・カルストの洞窟群」が存在。1995年、ユネスコ世界遺産の自然遺産に登録。2000年、スロヴァキア側の追加登録を加え、ハンガリー、スロヴァキア、共同遺産地域となり、現在に至っている。
GM向け山域再整理
追加情報に記していないことも、限定情報扱いでこちらに入れています。
- 広義のカルパティア山脈
- 東カルパティア山脈
- 東カルパティアの西端(ルーマニア領西部)「ルーマニア西カルパティア山脈」
(ルーマニア・ローカルで「西カルパティア山脈」。ルーマニア西カルパティアの南で、セルビア領内に延長している丘陵地を「セルビア・カルパティア」と呼ぶこともある。が、これを広義のカルパティア山脈に含めることはあまりしない(地質学研究くらい)) - 東カルパティアの南部(ルーマニア中南部)「ルーマニア・アルプス」
(ローカルには「南カルパティア山脈」) - 東カルパティアの北部(ルーマニア〜ウクライナ〜ポーランド南東部、スロヴァキア北東端)「(狭義の)東カルパティア山脈」
(ルーマニア・ローカルで「(狭義の)カルパティア山脈」。狭義のカルパティア山脈の外延部は「外縁東カルパティア山脈(Outer Eastern Carpathians)」、内側は「内部東カルパティア山脈(Inner Eastern Carpathians)」)
- 東カルパティアの西端(ルーマニア領西部)「ルーマニア西カルパティア山脈」
- 西カルパティア山脈
- 西カルパティアの北部(外側)「外縁西カルパティア山脈」
(ポーランドの「ベスキド山脈」、ポーランドの「西ベスキド山脈」(スロヴァキア・ローカルに「小ファトラ山脈」)、チェコの「白カルパティア山脈」、スロヴァキアの「小カルパティア山脈」から成る) - 西カルパティアの内側(中部スロヴァキアの北部)「タトラ山地」
- 西カルパティアの北部(外側)「外縁西カルパティア山脈」
- 東カルパティア山脈
【参照資料】
- Carpathian Mountains(WIKIPEDIA The Free Encyclopedeia(英文版))
コンテンツの中ほど、“Vertical and general division”の見出しの近くに、広義の山系を色分け区分した図が掲載されています。(2006年5月現在)
別称類
「カルパート山脈」とも呼ばれる。
地域によってローカルな区分(細分)やローカルな地名が多い。
ラテン語による古称、「カルパテス」。
地名は、古代のスラブ系言語に由来する、という説もある。
トピック:カルパティア山脈の成り立ち
カルパティア山脈は、アルプス造山運動がはじまるのと前後して、同じ力の作用を受けて褶曲をはじめたと考えられている。
アルプス山脈ほど険しくならなかったのは、造山運動がアルプスより先に終了したからだが、それにはいくつかの理由が重なっていたらしい。
山脈が褶曲したため、現在のハンガリー盆地が大きく沈降した。
この沈降がきっかけになり、山脈外縁部で火山活動が多発。
火山活動の痕跡としては、古い噴火口の跡が数百確認されている。
最終的には、ハンガリー盆地の沈降が若干回復して造山運動が終了した。
地塊にかかった力が、火山活動や、盆地の沈降、回復(上昇)という作用に逃げたことも、早くに造山運動が終わった理由の1つらしい。
もちろん大陸での配置の関係もある。
アルプス造山運動のメインの動因は、アフリカ・プレートの北辺が、地中海海底でユーラシア・プレートの下に潜り込んでいることである。(他にもいくつかの力が複合して作用した)
当然、プレート潜り込み境界線に近い部分ほど、より大きく影響を被る。
さらに、地形自体の変化も関っている、とする説もある。
例えば、アルプス造山運動が開始された頃は、まだ、イタリア半島及び、その付け根部はヨローッパ大陸と一体化していなかった、というモデルが考えられている。
このモデルでは、イタリア半島は、アルプス造山運動がはじまった頃、アジア大陸側で、アナトリア半島近辺にあったと目されている。
アジア大陸側から、引き千切られるようにして、イタリア半島を乗せた陸塊がヨーロッパ側に衝突。結果として、カルパティア山脈の陸地上の配置は、より内陸部に変化した、と言うのだ。
ちなみに、イタリア半島を動かしたのと同じ力がより長期的に作用して、アナトリア半島は現状のような形状に“引き伸ばされ”、今のような配置になった、と言われている。
こちらのアナトリア半島の変化については、大陸移動の多くのモデルで同意されている。
リンク
資料リンク
- 「ナショナルジオグラフィックス(日本版)」」,「バックナンバー」のページより、1997年11月号
文=リダ・ソーヒー 写真=リダ・ソーヒー、ミソ・ソーヒー「ウクライナの山の民フツル」=旧ソ連の圧制に耐え、カルパティア山脈の奥地にひっそり暮らす人々の生活と、文化について、だそうです。
- Carpathian Mountains Relief Map(PEAKWARE)
中東欧地域のCGレリーフ図が見られます。「カルパティア山脈がフレイムの左下に寄ってる」、「地図図法の関係で、ヨーロッパ・ロシアの平原が広大に見えすぎる」などはあります(2006年5月現在)が、シナリオ用イメージ・ソースにいいと思います。特に、国境線が引かれてないとこがいいです。
活用や検討
活用
とりあえず、リンクに入れといたバイオスフィア・エクスペディションズ(Biosphere Expeditions)は、「自然保護活動を積極的に行うことを希望する人々に野生生物を実感するための遠征を運営している、非営利団体」だそうです。
- 「現在はポーランドのカルパティア山脈とウクライナの黒海地域におけるオオカミの保護に重点が置かれています」とあるので、置いておいたのですが。何か適当な項目ができたら移した方がいいかな(?)。ちょっと迷い中。
- でも、そうか、カルパティア山脈って、野生オオカミがいるのか、って、思ったので置いておきます。
検討
- 検討の項は記名記入を推奨(無記名記入は書き換えられても仕方なし、ってことで)
【重要な改訂の情報】
- 前のテキストで、曖昧だった箇所を明確化しました。全体に改訂を加えた型になっていますが、曖昧表現だった部分を詳しく追加したのが主です。以前の内容は、さほど変わっていないと思います。(2006年5月6日)
キーワード:
参照:[ヨーロッパ] [タトラ山脈] [スロバキア共和国] [モルドバ共和国] [パンノニア平原] [バルカン山脈] [チェコ共和国] [ランド・マーク] [ルーマニア] [アグテレク・カルストとスロヴァキア・カルストの洞窟群] [ブコヴィナ地方] [セルビア共和国] [トランシルヴァニア高原] [ウクライナ] [ヨーロッパ州のランド・マーク] [モラヴィア地方] [ハンガリー共和国]