言語技能
言語技能 げんごぎのう
「言語技能」は、「ブルーローズ」のキャラクターに設定される24種の技能の1つで、双子座の技能。
「言語+知性」を、基本形の判定方式とする。ルールブックでは、他に「言語+直観」や「言語+社交」の用例にも言及されている。
ルールによれば、言語技能を有すキャラは、――
「あまり一般的でない言語でも読み書きでき」、
「技能値の分だけ、母国語と英語以外の主要国の言語に通じ」、
さらに技能値が高い場合「古代言語もすらすら読める」。
また、PCに限っては、言語技能を未取得でも「英語をはじめとする主要国の言語で調査に必要な程度の日常会話が充分できるよう訓練を受けている」。
(ルールブック、p.60)
ルールの検討
言語技能についてのルールは、GMの裁量範囲が比較的大きい。
例えば、――
- 「主要国の言語」とは何か、「例」が挙げられている(ルールブック、p.60)。おそらく、これはシナリオ依存でGM裁量すべし、との示唆だろ。
キャンペーン・プレイでは、あまり恣意的な運用にならないよう検討しておいた方がいい。この検討は、特に複数GMでキャンペーンを共同運営する環境では必須に近くなるだろう。 - 「あまり一般的でない言語」とは何か? こちらは「主要国の言語」を決めなければ、決まらない。
――などが重要なGM裁量になる。
また、技能値が高ければ、どんな古代言語でも「すらすら読め」ていいのか? 例えば、未解読の古代言語もすらすら読めていいのか? との疑問もある。
なお、「すらすら読める」と聞くと、まるで無条件に読解できるかのように思えるが「古代言語を読解する判定」としては、「言語+知性」判定が指定されている。(ルールブック、p.60)
以上の件は、「用例」の項で検討したい。
運用
基本
ルールブックに見られる用例。
- 「古代語を解読」する判定の、基本判定方式(ルールブック、p.60)
「すらすら読める」の件に関しては、「辞書などがなくても、読解の判定に挑める」の意と解釈するといいだろう。
- 「古代語を解読」する判定の、特殊な場合(基本以外)の判定方式(ルールブック、p.60)
- 「あまり詳しくない言語の細かいニュアンスを拾う」判定(ルールブック、p.60)
この用例は、文字通りに採ると、納得しづらい。「言語技能の数値に応じて、習得していることになる言語の細かいニュアンスを拾う」なら、納得し易い。この件は、「用例」の項で別途検討したい。
- 「あまり詳しくない言語で微妙な交渉をおこなう」判定(ルールブック、p.60)
この用例は、文字通りに採ると、納得しづらい。「あまり詳しくない言語で、大まかな交渉をおこなう」なら、納得し易い。しかし、その判定なら、「交流+社交」判定の方が適しているだろう、との疑問も生じる。
用例
「主要国の言語」の用例
「ルールブックにある主要国の言語の例示が曖昧で捕えどころがない」これはもっともな不満だ。p.60に挙げられている「主要国の言語の例」も、みればみるほど判断基準が不明だからだ。
使用人口の総数が基準なら、ペルシア語や日本語が入っている理由がわからない。話者が多い諸国の政治、経済的重要度を基準にするなら、スワヒリ語が入っている理由がわからない。どちらを基準にしても、ロシア語が「入っていない」理由もわからない。
さらに、EU各国語とはどこまでを指すのかも不明だ。2004年にEUに加盟したハンガリーの主要言語、マジャール語は主要国の言語なのか? いや、いくらなんでもそれは無理だろう。では、ルールブックが刊行された2002年現在までのEU加盟国を主要国とするのか?? などなど疑問はつきない。
現状は、GMが狙ってるシナリオ傾向、キャンペーン・プラン、及び、セッション・メンバーの志向性や、PCの設定などを考慮して、GM裁量で決していくしかない。ルールブック、p.61に例示されている「主要国の言語」が、わざわざ「例」とされていることからも、これがGM裁量の範疇とされているとみなせる。
「主要国の言語」については、コンベンション・プレイや単発セッションではあまり神経質になる必要もない。シナリオ傾向や、PCの設重視して検討していけばいいだろう。
一方、キャンペーン・プレイでは、あるシナリオで「主要国の言語」と定めた言語を、別のシナリオで「主要国の言語ではない」とする扱いなどには、注意したい。
少なくとも、こないだは「主要国の言語」として扱ったものを、今回は「違う」とすることは避けたい。逆は、まあ、ありかもしれないが。万一、変更するにしても、プレイヤーには、できるだけセッション前に告げていきたい。
この関連は、特に、複数のGMが交代でキャンペーンを扱う環境だと、事前にGM間で、考え方を整理していった方がいい。対処策については「ハウス処理:『主要国の言語』の処理」の項を参考にされたし。
ちなみに、「言語技能を有すキャラは、あまり一般的でない言語でも読み書きでき」、の「あまり一般的でない言語」とはどこまでか? これもはっきりしない。しかし、こちらの件は、まず、「主要国の言語」をGM裁量で決めてから、それに応じて検討していくしかないだろう。
「古代言語を読む」処理の運用例
まず、すらすら読めるのは「古代文字」だろう。
読めるだけでなく、例えば、オーパーツのパワーで現代に甦った古代人がいた場合、高い言語技能を有すキャラは、読める古代言語について、少なくとも聴き取り(ヒアリング)はできる、としたいところだ。これは、GM裁量の範囲内のことだろう。
次に、言語技能が高いキャラが、現在未解読の古代文字(例えば、線文字A?や、インダス文字?)をすらすら読めていいのか? との、もっともな疑問が湧く。
これは、ルール記述の曖昧さから生じる問題だが。「未解読の古代文字は読めない」とハウス処理していった方がいい、とお勧めしたい。
NPCが未解読言語をスラスラ読んで陰謀を巡らしていたら、財団もたまったものではない。また、PCが未解読の古代文字をスラスラ読めるなら、ブルーローズ部門の内でも内勤の研究班に移籍が要請されるだろう。世界をまたに冒険してる場合ではない、研究生活が君を待っている。
ここでは、GM裁量として、次の運用を提案しておく――
- 「言語+知性」判定は、過去に解読されている古代言語を読解したり、ヒアリングしたりする判定とする。
- 「言語+直観」判定は、未解読の古代言語について「内容の詳細はわからないが、どんなことが書いてあるか(あるいは、古代言語をしゃべるNPCが何を言っているか)、大まかに概要を直観する」ための判定とする。
また、関連して、宇宙人の遺した文字や、エノク語(「天使の言葉」を意味するオカルト用語)など、「古代言語」以外の言語――と言うより、「人間以外の言語」を処理には、言語技能のでは不可能、とするハウス・ルールも紹介しておきたい。⇒「ハウス・ルール:『言語+直観判定』及び付随する判定について」
ハウス運用
部分的なルールの拡大解釈、限定解釈も含んだ応用例。
「母国語」のハウス運用
「言語技能を有すキャラは、技能値の分だけ、母国語と英語以外の主要国の言語に通じ」。このルールは、おそらく、どんなキャラクターでも、人間なら、母語は身につけているだろうとの、大多数のTRPGに通用する常識判断が前提になって記されたものだろう。
単元の文脈をみれば、ルールの意味は、「PCは特権的に主要国の言語すべてに通じているが、NPCは、母国語の他に、取得した言語技能の技能値の数まで、主要国の言語の内から取得対象を選択できる」という意味と理解される。
問題は、「母国語」との曖昧なカテゴライズでは、GMとプレイヤー、プレイヤーとプレイヤーの間にイメージのズレが出かねない点だ。
例えば、――
「私のキャラは、U.K.国籍のアイリッシュなので、母国語はアイルランド・ゲール語です、母国語の他に主要国の言語が理解できます」
「私のキャラは、ベトナムからフランスに帰化しまして母は広東人です。母国語は、ベトナム語、広東語、フランス語です」
「私のキャラは、父の代にアルメニアからU.S.A.(合衆国)に亡命して、国籍取得した移民一家の2世です。母国語はアルメニア語と米語です」。
上にあげたようなキャラクターは、人口比率は少なくても、リアル・ワールドには多数いる。リアル・ワールドにいるだけではなく、えてして冒険物語ではこの手のキャラが活躍することも少なくない。
このタイプの設定の問題は、GMの負担が増えることと、他のPCと比較して少しマンチに得をするだろうことだ。
この類の設定を制限するために、「母国語」という曖昧なカテゴリーを避けていくハウス運用が考えられる。ルールにある「母国語」を、「キャラクターの国籍が設定されている国家で公用語とされている言語の1つを予めノー・コストで取得している」と、限定気味に読み替えていくハウス運用を紹介したい。
ちなみに、各国の公用語については、ウィキペディアなどで、調べはつく。
ここでさわりだけ紹介したハウス処理の詳細については、「ハウス処理:『母国語』についての処理」の項を参照されたし。
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参照:[技能] [ハウス処理:「主要国の言語」の処理] [小辞典ルール編] [天命の書板] [アッシュル・ナツィルパル2世] [ハウス・ルール:「言語+直観判定」及び付随する判定について] [ハウス処理:「母国語」についての処理]