新石器時代
- 新石器時代 しんせっき じだい (Neolithic Era) 簡易版
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「新石器時代」は、古くは「石器時代の末期」を指す時代区分とされた。
もともとは、石器の作製技術に基づいた時代区分として提唱されたが、その後の考古研究では、過去のヒト社会のライフ・スタイル(文化)の再構成へと焦点が移っている。現在はむしろ「非定住の狩猟採取のライフ・スタイルから、定住化、牧畜や農作、農耕を採用したライフ・スタイルが生じた流れ」の内で、新石器時代を考えるようになっている。
現在、しばしば「農作のはじまりをもって旧石器時代から新石器時代への移行」とみなす、と言われる。
ただし、“農作”とは言っても、現在、研究者の間では、かつて重視されたような組織だった灌漑農耕だけでなく、粗放なものも含めた広い意味での「農作」が、旧石器時代から新石器時代への移行のポイントとして重視されている。大まかに言えば、灌漑農耕重視による新石器時代の定義は、20世紀の前半に確立された歴史観で、その後の研究によって各地の新石器文化の実態が詳細化され、「灌漑農耕」から「家畜化、(農作物の)作物化」に重点が移ったのが、20世紀後半から現状までの定義と言える。
現在は「穀物の栽培(必ずしも組織立った耕作とは限らない)と、家畜の飼育(家畜化)が採用された時代で、多くの場合定住化が進行した時代」などの定義が唱えられている。このタイプの定義は、細部についての議論はあっても、大枠としては合意されているものと言える。
新石器時代の具体的時代区分は、地域によって異なることも研究者の間では合意された見解だ。例えば、オセアニア地域では、新石器時代の区分を設定することも困難、と言われている。
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現在、新石器時代の期間は、地域によって違うことが広くみとめられているが、次のような見解は、大筋、現状での共通見解とみていいだろう。
- シリア・パレスティナ地域?では、紀元前1万年頃から。
アナトリア高原では、紀元前9000年頃に、新石器文化が定着。 - メソポタミア地域では、紀元前8000年頃から。
- エジプト地域では、紀元前5000年頃には、確実に定住農耕集落が確立していたことがわかっている。しかし、集団の定住化は、早ければ紀元前1万年頃からはじまっている地域もある、とされ。議論が多い。
- 南アジア地域では、紀元前7000年には確実に新石器文化が営まれていたが、あるいは紀元前8000年頃まで遡るかもしれないという議論がある。
- 東アジア地域?では、紀元前7500年頃には、確立。地域によっては紀元前7000年頃に新石器文化が見られる、とされるが、系統や相互影響については議論が多い。
- ヨーロッパでは、南東ヨーロッパ?でB.C.7000年頃に定着した新石器文化が、地中海沿岸ルートと、ドナウ川沿岸の内陸ルートとで、それぞれ別種の展開を示しながら広がっていった。
中央ヨーロッパ地域に新石器文化が広まったのは、B.C.5500年頃で、ヨーロッパ北西縁にまで広まったのは、B.C.4500年頃とされている。 - メソ・アメリカ地域?では、普通は、B.C.4500年頃から新石器文化が成立した、とされる。
- オセアニア地域では、新石器時代という時代区分自体ができないのではないか、という意見が強く、議論が多い。
上記以外の地域、北アメリカや南アメリカ、北アジア、内陸アジア、カフカス地方などについては、まだ分野で共有されていない新たな知見や議論が多く、新石器時代の時代区分についても諸説ある。(もちろん、先に挙げた諸地域についても、記したのは大方の意見にすぎず、議論や諸説があることは変わらない)
- 新石器時代のはじまり
- 現在、新石器時代を区分する新石器文化の定義については、研究者の間に幾つかのトレンドを認めることができる。これは、新石器文化を整理してくために重視するポイントの違いと考えるべきで、大枠について文字通りに「諸説ある」わけではない。農作物の栽培と、家畜の飼育(家畜化)とを、大きな目安とすることはほとんどすべての研究者に共有された理解だ。
- かつては、使用された石器の器形と製作技術とから、旧石器時代/新石器時代が区分されていた。単純化すれば、もっぱら打製石器が使用されていたのが旧石器時代で、磨製石器が作製されるようになった時代を旧石器時代とする整理だ。
- 現在は、打製石器の内でも、小形で同形の石器を多量に作成できる細刃技法が確立してからを中石器時代?と区分し、旧石器時代と新石器時代とのあいだに設定する立場もある。
- ところが、シリア・パレスティナ地域や上エジプト地域では、細刃技法の採用と、農作の開始とがほとんど同時とみられている。このため、これらの地域では中石器時代を設定する必要はない、とする意見が多い。
- ワールド・ワイドに応用可能な新石器時代の定義を考えるなら、石器の器形や製作技術ではなく、農作技術、家畜の飼育技術、といった要素が重視されることになる。
- 新石器時代の展開
- 現在、ワールド・ワイドな研究動向では、新石器文化の歴史は、家畜化(Domestication)を主軸にした整理が主流になりつつある。“Domestication”とは、畜獣については、文字通り「家畜化」を意味するが、農作物についての「栽培化」も含んだ広い意味の用語だ。
- “Domestication”の用語は、「定住集落の成立を農耕、牧畜技術の確立から説明する整理」だった20世紀戦半の「新石器革命論」が詳細に検討された過程から唱えられるようになったもの。
- 現在“Domestication”で言われる農作は、定住化の後に組織化された農耕のみを指すわけではない。極端な例を挙げれば、耕地を整備しなくても、穀物繁茂地で雑草の類を除去する作業を、例年意図的に繰り返していたら、それは粗放ではあっても「農作」にあたる。こうした事実が過去にあったかどうかは、遺跡からの出土物に含まれる穀物砕片の遺伝子分析、などを証拠に論じられている(栽培作業を受けた農作物の遺伝子は均一化していく)。
- 勢い、新石器時代のはじまりの時期は、研究者によって遡る傾向がある。
- また、土器の使用などを新石器時代の時代区分の目安にする立場もあるが、これは、地域による違いが大きすぎてワールド・ワイドな目安には適さない、と言われる。(例えば、土器作成に適した材料に乏しい地域では、土器は輸入するしかない)。
- 新石器時代の終焉
- 「石器時代」の項を参照されたし(⇒ 石器時代)。
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「石器時代」という時代区分が提案されたのは、1836年だが、新石器時代/旧石器時代という時代区分が提案されたのは、1865年のことで、U.K.(連合王国)の銀行家、政治家で、博物学研究家でもあった、J.ラボック男爵?の提案による。
その後、20世紀の1920年代に、オーストラリア生まれの考古学者、V.ゴードン・チャイルド?が、「新石器革命」の理論を唱えた。新石器革命論は、様々な議論を生みながら、20世紀の半ばには主流の理論になったが、その後、細部から改訂されていった。現在は、チャイルドが唱えた新石器革命論は、大枠も修正されている。
チャイルドの新石器理論は、「組織的な農耕と家畜飼育とが、ヒトの社会の定住化、都市化を可能にし、うながした」とする理論だったが、現在は、例えば、「最終氷期以降の過剰な狩猟採取(オーヴァー・キル)が、農作と家畜飼育との高度化を促し、必要とされる人口圧力を養うために定住や組織的灌漑、都市化などが強いられた」と言われる。
もちろん、詳細な経緯や整理は地域ごとにことなるのだが、「人口圧力の低かった地域では、そもそも農耕の組織化や灌漑などをする必要が乏しかった」との理解は、広く共有されている。
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【参考資料】
(ヨーロッパ地域、及び近接地域での主要な新石器文化の大別と分布,土器のタイプをキーにした整理のようだ,Wikimedia Commons)
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