内陸アジア
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「内陸アジア」は、「アジア州の内陸部」を漠然と指す地域概念。
幾通りかの用法が知られているが、範囲としては、概ね次のような領域に収まっている。
- 最広義の内陸アジア
- 最広義の「中央アジア」である「ユネスコ定義の中央アジア」に等しい。
- 西は、カスピ海?の東岸まで。
東は、中華人民共和国領の東西中ほどを概ね斜めに横切るようなライン。大興安嶺山脈?から、いわゆる黄土高原?東縁を経て四川省?に至る地域。 - 北は、カスピ海北東端とロシア連邦領のウラル山脈南部から、中華人民共和国領の大興安嶺山脈北部までの間で、シベリア平原?の南辺を縁取っている地域。
南は、ヒマラヤ山脈?南斜面から、カシミール高原?、スライマン山脈?を経て、現アフガニスタン領とイラン高原北西部とを含んだ後、カスピ海南東端に至る地域。
最広義の範囲も、最狭義の範囲も、用いられることはマレと思われる。(「最狭義の内陸アジア」は、「東西チュルケスタン」と言えば済む)
むしろ、「内陸アジア」は、最広義の範囲よりも若干狭い範囲を意味することが多いようだ。
しばしば用いられる範囲としては、次のようなものがある。
- 北は、概ね北緯55℃線あたりから以南。
- 南は、ヒマラヤ山脈脊梁線から、カシミール高原を経て、広義のヒンドゥークシュ山系?を含んだ後、イラン高原の北西縁をかすめて、カスピ海南東端に至る。
- 西端は、最広義の範囲同様、カスピ海東岸までとされる。
東端は、最広義の範囲より、若干西寄りとされることもあるようだ。しかし、モンゴル高原、中国領の内蒙古自治区、四川省、西蔵自治区?が含まれることは共通しているようだ。
「中央アジア」という用語は、今日では、政治的な意味合いで用いられることがたいへんに多い(用語が用いられ出した当初は、地理用語として唱えられた)。
現在の国境線にしばられると研究がうまく整理できない分野では、「内陸アジア」が好まれる傾向はある。例えば、環境研究、考古学、民族学、古い時代についての歴史学、などだ。
ただし、上記分野の研究者のすべてが「内陸アジア」の用語を用いるわけではない。
【参照地図】
(アジア地図,THE WORLD FACTBOOK,CIAより,中東地域は一部切れているが、内陸アジア地域はカバーされている)- Central Asia political map,Map(Uzbekistan,Encyclopedia Britanica online)
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「中央アジア」とは異なる用語、「内陸アジア」を用いる研究者は、「今日では、中央アジアがあまりに政治的な意味合いで用いられることが多い」との理由を挙げることが多い。
より具体的には、次のような理由が重視されることが多いようだ。
- どちらかと言うと政治的な意味合いで使われることが多くなっている「中央アジア」に対し、「内陸アジア」を、地理、環境的な意味、あるいは、歴史、文化的な意味で言う。
- アジア州内陸の、乾燥気候に属す高原地帯を中心に、より広く、降水量が少ない地域も一括して考察する。
沙漠地帯を中心に、ステップ草原地帯も含むことになる。
(あるいは、この点が、沙漠地帯に限定されがちな「中央アジア」と異なるポイントかもしれない) - 歴史的に、いわゆるシルクロード?を含め、ユーラシア?の東西交流、南北交流が交差した地域という面を重視する。
(普通、シルクロードでは、東西交流路とみなされることが多く、南北交流は軽視される傾向がある) - 文化的に、遊牧騎馬文化が形成され、多数の騎馬遊牧民が盛衰した地域という面を重視する。これは、中央アジアには含めないことの多いモンゴル高原が、普通は内陸アジアに含まれる理由の1つだろう。
(内陸アジアにもオアシス都市国家はあり、それらの文明が軽視されるわけではない。しかし、オアシス都市についても、遊牧騎馬文化との関連が重視される)
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「内陸アジア」は、実はもっぱら日本人の研究者が、環境研究、地理学、考古学、歴史学、民族学などで用いてきた用語。日本人研究者のすべてが用いるわけではないし、「中央アジア」を政治的意味以外に用いない研究者、内陸アジアと使い分けて併用する研究者など、用法は様々だ。
英語では、普通は「内陸アジア」にあたる用語は用いられない。
「内陸アジア」は、「ユネスコ定義の最広義の中央アジア」を用いるよりは、含意や主張などに優れた面が少なくないと思われる。しかし、日本人研究者の間でも定義や範囲が一定していないようなので、ワールド・ワイドに広まるには、まだまだ時間がかかりそうな用語だ。
GM向け参考情報
解説記事本文には、薀蓄めいたこともいろいろ書かれていますが。シナリオ・メイクや、マスタリングでは、次のよなポイントから押さえていくといいでしょう。
- 「内陸アジア」の示す範囲には幾通りかがあって、どれか1つが定説的に正しい、ということはない。
これは「中央アジア」も一緒。 - しかし、内陸アジアには、中央アジアに含まれることがまれな地域、モンゴル高原、内蒙古自治区、チベット高原などが、普通に含まれる。
- 「中央アジア」は、今日政治的な意味で使われることがあまりに多く、現存国家の国境に縛られることが多い。
そこで、現在の国境線にしばられると、研究がうまく整理できない分野では「内陸アジア」が好まれる傾向はある。
例えば、環境研究、考古学、民族学、古い時代についての歴史学、など。
「英語では、普通は『内陸アジア』にあたる用語は用いられない」については、凝ったシナリオなどで隠しネタ的に扱い、普段は「ブルーローズでは、割と普段から『内陸アジア』が使われている」とした方がいいでしょう。ルールブックでも、秘匿情報で、第30章の章タイトルに使われていることですし。
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