シリア沙漠
PCが予め知ってていい情報
追加情報
- 小辞典版推奨判定
- 「生存+知性 目標値10〜12」、「警戒+直観 目標値14以上」
- やや詳しい情報 西アジアの沙漠と聞くと、1年中高温と思われがちだが、冬季には気温が氷点下になり、積雪も見られる。夏冬の気温差が大きいだけでなく、昼夜の気温差も大きい。宿営をする場合は、キャンピング・カーなどの用意でもない限り、生存判定を必要とする。
- 小辞典版推奨判定
- 「情報+知性 目標値10〜12」
- やや詳しい情報 荒れ地地帯の内に石油パイプラインが敷設され、周辺各国主要都市間には自動車道も設けられている。イラク戦争以降の緊張下にあって、国境警備や各国の領内警戒は厳重、と思われる。
- 小辞典版推奨判定
- 「操縦+知性 目標値10〜12」
- やや詳しい情報 沙漠だからと言って、縦横に自動車走行できるわけではない。シリア沙漠の場合、岩地性の高地やワディ(涸谷)が多い地域も含まれる。こういった地域では、地形を把握してから走行しないと、自動車では立ち往生することも起きかねない。
(“砂漠”の語感に惑わされず、荒れ地だという現地の環境を意識して、地域の特徴を活用したい)
- 小辞典版推奨判定
- 「歴史+知性 目標値10〜12」、「情報+知性 目標値12〜14」
- やや詳しい情報 沙漠北西部のシリア領内には、1980年以降ユネスコ世界遺産の文化遺産に登録されているパルミラ遺跡が存在。化石人類発掘調査のスポットも多い。
シナリオ・メイク用参考情報
用途
例えば、次のような利用法が考えられます。
- NPCによる遺跡調査隊の護衛ミッションの舞台
- NPCによる調査隊からの重要アイテム受け取り→移送ミッションのルート
- 沙漠まで行方不明になったNPC調査隊の探索、救出ミッション
- パルミラ遺跡を探訪する重要NPC(ジェシカ・ローズなど)の護衛ミッション
あくまで、向いている事例をあげだけです。工夫次第でもっといろいろな使い方ができるでしょう。
状況としては、イラク戦争以降の現状では、各国の警戒は厳重化している、と想定した方がリアルと思われます。
以前は、沙漠内に敷設された国際自動車道を使い、国境を越える長距離トラックの運行が多数ありました。現状では、ルートを変えざるを得ない便もあり、重要度の高い物資の陸運に限定され運行されている、と設定するといいでしょう。
アクションは、各国国境近辺など、一部地域では多少限定を加えた方が扱い易いはずです。基本的には、かなり派手なアクションが許容可能な地域が多いです。
チェイスの類は、おもいっきり派手にして構いません。だからこそ、地形に応じた判定を課し、プレイヤーには地形を逆利用した戦術なども工夫して欲しいところ。
戦闘に関しては、国境部以外では、かなり派手な戦闘でも扱えるはずです。
シナリオの都合があったら、各国警備隊の周回をうまく組み込むといいでしょう。
- 現今の緊張した状況下では、国境近辺での長時間の戦闘継続、大規模な破壊は国際的影響が大きく、政治的波及効果は関与変数が多すぎて想定しきれない。
この件は、PCだけでなく、各陰謀組織も考慮した上で行動をおこなうと想定したい。
ただし、戦闘が発生しても短期間で収拾されれば、財団にも政治的な波及効果を食い止める、手だてを講じられる、と思われる。
もちろん適切なゾディアック・メンバーを使えるなら、財団の手を煩わせるまでもない。
アクションに関する例外は、シリア領内のパルミラ遺跡?など。
ユネスコ世界遺産に登録されているこの遺跡は、観光化されているうえに、現在のシリアが、一応、社会主義政権下にあることもあって、普段から政府による監視は厳しい――他国の世界遺産より厳しめの監視下にある、としたい。
沙漠の各所にはベドウィン?の集落が散在。現在でも、ヒツジ、ヤギの遊牧は、廃れつつはあるとは言え、営まれている。
- 登場しても唐突でないNPC事例
- 現地のベドゥイン、各国警備兵、運送業者、取材目的のジャーナリスト、研究者、など。他に、パルミラ遺跡に限っては、観光客グループ。
- 遺跡スポット
- シリア領内にパルミラ遺跡が存在。他に、化石人類発掘調査のスポットも多い。
- アラビア語による呼称(現地名)
- バディエト・エッシャアム。
運用
シリア沙漠は、中央部は平坦だが、周辺部には起伏が多い。地形をアクションの条件として採り入れていきたい。
例えば、自動車での走行ルートの検討、選定、地形におじた走行判定での目標値修正など。
また、沙漠地帯での長時間の屋外活動、屋外宿営などでは、生存判定なども考えたい。その方が、冒険ものっぽくなるだろう。この件は、「沙漠」の項にある「GM向け参考情報」を参照されたし。(⇒沙漠)
- 自動車走行の判定については、地形との関係が深いので「地勢」の項で検討することにします。
- もちろん、沙漠内に敷設されている自動車専用道路は、普通に走行できるものとします。
地勢
大観
沙漠のタイプは、岩沙漠と石礫の多い泥沙漠との混成。場所によっては、低い茂みを作る植生がみられます。台地状岩地高原、岩山なども含み、ワディ(枯れ谷)など起伏も多い。
大観すると、中央部は平坦地だが、北と西は山地に縁取られている。
東は、ユーフラテス川に向かう緩い傾斜面となっている。
南では、サウディ=アラビア?領内のネフド沙漠との間に、丘陵地や高度の低い高原が横たわる。
ネフド沙漠との間の丘陵地も岩地性の荒れ地、岩山ではある、これらもシリア砂漠に含める場合があり、その場合、領域面積はさらに広くなる。
沙漠地帯の境界は特定し難いが、南方の丘陵地や岩地高原を除外すれば、概ね東西320kmほど、南北200kmほど。
【参考】
域内各地域
沙漠中央の平坦地で、ヨルダン、イラク、シリアの国境が合すあたりのシリア領内に、タンフの町(人口不詳、1万人未満級)が存在。この町の北西縁からは、沙漠性植生がまばらに散在するようになり、北から北西にかけての方角に進むほど密になっていく。
沙漠の北方から北西方に広がるいわゆる肥沃な三日月地帯では、農耕も営まれている。三日月地帯の縁辺に近づくに連れ、沙漠性の植生が密になる。
沙漠の東縁辺でユーフラテス川西岸に向かう傾斜面には、かつて大河に注いでいた河川の枯谷が、東西方向に幾筋も刻まれている。
東の方向でも、進むに連れ沙漠性植生がまばらに散在するようになる。
- この地域を、涸谷に沿うように自動車走行する場合の難易度は、やや高い(目安として、目標値13〜15)くらいで済むが、幾筋もの枯れ谷を越える方向に走行するのは不可能とする。
西から北にかけてを縁取る山地は、地中海西岸沿岸に沿って南北に連なっている山地帯の外縁にあたる。
西辺から北辺にかけての山地帯でも、沙漠性の植生はまばらにみられる。
シリア砂漠北周縁部では、山地の比高は高くはないが細かな起伏が連続している。
- この地域は、ラシード山脈など一部を除いて、自動車による走破を不可能とはしない。しかし、難易度は高い(目安として、目標値14〜16)。
長時間走行を続ければ、「生存+耐久」判定をおこなうことを推奨する。失敗したらマイナス状態を被るとする。目標値は、連続走行時間を基準に調整するといいだろう。
- 南方の丘陵地や高地帯は、かなり侵食を被っているので、自動車走行は困難程度(目安として、目標値12〜14)と考える。急斜面をあがらざるを得ない状況などでは、もっと目標値をあげても構わない。
長時間の連続走行が「生存+耐久」判定を強いることを、北周縁部山地同様に推奨する。
交通路
主要自動車道
シリアの首都ダマスカス?から北東方に発す基幹自動車道は、沙漠北西の山地群の山麓を通り、ユーフラテス川流域にあるデーレッゾールに至る。
- この基幹道路の中程西寄りで、タドモルの町(人口不詳、1万人未満級)近傍の小高い丘の上に、パルミラの遺跡が存在。
- ユネスコ世界遺産に登録されているパルミラ遺跡には、観光客も訪れる。社会主義体制にあるシリアでは、観光客保護の名目にて、遺跡監視も厳重と設定。
- 基幹道からは、2、3の地域自動車道が分岐しているが、シリア砂漠内を通る分岐道は、パルミア遺跡近傍のタドモルの町から東方に分岐する道のみ。
イラク首都のバグダードから概ね西に向かう基幹自動車道が、イラク領内西部にあるルトバの町(人口不詳、1万人未満級)の西方で分岐。
- 西北西に別れたルートは、国境を越え、タンフの町を経由してシリアの首都ダマスカスに至る。
- 西南西に分岐した路は、ヨルダン国境に入り、いくつかの都市を経てヨルダン渓谷に至る。
- 2つの道の分岐点からは、東北東に向かう地域自動車道も分岐。
- 基幹道、地方道の等級を無視すれば、縦に潰れたX字状の4つ辻になっている。
- 東北東に向かう地域道は、人口1万人級の町を2、3経由した後、ユーフラテス川流域に到達。その後は川を渡ってティグリス川方面に伸びて行く。
サウディ=アラビアとシリア他の国境にかかり、過半がサウディ領内に位置するウィドヤーン高原、ハマード高原上では、東南東からイラク - サウディ国境とほぼ平行に走ってきた基幹自動車道が、アシャフ丘陵の手前で、人口5万人級のトゥライフの町に到達。この町の近傍には、国内線専用空港がある。
- トゥライフの町を過ぎた基幹道は、岩地の起伏沿いに時々折れ曲がりながら国境近くのハイディーダの町(人口1万人級)に至り、その後は国境を越えヨルダン領に入る。
古代史などとの関わり
シリア沙漠は、「文明の十字路」とも言われる歴史的シリア地域の東辺にある。
北は、アナトリア高原東部と接し、アナトリアを介してカフカス地方に連なる。
東でメソポタミア地域平地部に接し、西方には地中海東岸との間を山脈が区切っている。北はエジプト方面とアラビア半島?に連なる。
極論を言えば、西アジア、ヨーロッパ、北アフリカのどのような遺物でも、本来の意味でのオーパーツ(場違いな遺物)として、出土発見されたとするシナリオを作ることが可能だ。
化石人類が、何度も波状的に拡散していったルート上にあり、初期の農耕や牧畜が伝播したルートにも関る。
エジプト軍が北上したこともあれば、カフカス山脈を越えたスキタイ軍が南下したこともある。ローマ軍が東へ侵攻したこともあれば、モンゴル軍が東から押し寄せたこともある。
インドの仏教僧がエジプトのアレクサンドリアに向かったこともあれば、十字軍国家が、イスラム文化との接触をもったこともある。
どんな遺跡や出土遺物が可能かを列挙していったら、世界史略年表を書くに等しくなってしまう。
もちろん、「ブルーローズ」では、超古代文明の設定を絡めて、中南米や、古代中国の遺物を出土させることだって可能だ。
ここでは、比較的た易く古代史ネタと絡められるものに限って考えてみたい。
- 化石人類の発掘スポットは幾つもある。フィクションで、独自の発掘スポットを作っても無理はない。
- 代表的な古代遺跡は、すでに記したユネスコ世界遺産文化遺産に登録されているパルミラ遺跡?。この遺跡は、大々的な修復こそされていないが、保全はなされており、シリアの観光コースに組み込まれている。
シリアは社会主義体制下にあるので、他国で観光化された世界遺産遺跡よりも監視が厳重。
パルミラ遺跡と、直接の関わりが深いのは、ササン朝ペルシアとローマ帝国。間接的には、ササン朝ペルシアを介して、内陸アジアのシルク・ロード系交易路や、南アジアとの交易路につながっていた。
他には、次のような遺跡や遺物が地中に眠っていたことにしても、あまり無理のないフィクションを構想できるだろう。
- 過去に、この地に到達した国家の到達記念碑、宗教的記念碑
- 近隣で滅亡した国から、何かの秘宝を持ち出した一群が、力尽きて秘宝もろともに眠っていた宿営地の遺跡。あるいは、目的意識を持って、秘宝が秘蔵された隠し財産、封印されたオーパーツなどなど。
- 近隣でどのような国家が盛衰したかを知りたいGMは、ぜひ、ルールブック、限定情報の第31章、第33章、第34章、他を参照して欲しい。
【参考】
キーワード:
参照:[ラタキア市] [イラク共和国の基本情報 2008年版] [ネフド沙漠] [メソポタミア地域] [アジア州のランド・マーク] [イラク共和国の基本情報 2009年版] [ホムス,シリアの〜] [シリア=アラブ共和国の有用地図集] [デーレッゾール] [エブラの遺跡] [シリア=アラブ共和国の諸地域] [アジア州の現存国家] [シリア=アラブ共和国] [イラク共和国] [ランド・マーク] [マリの遺跡]