ドナウ川
PCが予め知ってていい情報
- 「判定処理なしに、PCが知ってることにしていい」情報とします。
ドナウ川(ダニューブ川)は、ドイツ連邦共和国の南西部から黒海まで、数カ国を流れるヨーロッパの国際河川。流域諸国の間で国際管理され、国際水運が盛ん。
沿岸には、景勝地、古都が多く、観光客の往来も多い。
- 【参照地図】
- 【参照イメージ】
- Danube(Wikimedia Commons)
- showcase(Danuve Panprama Project)
- Danube Lands(Danuve-river.org)
ドナウ川の地図が表示されます(これも有用)。ページ上部の国名リンクから、まず国ごとの解説ページに飛びます。解説ページで、やはり上部にある[Impressions]のリンクを辿ると、流域の写真ギャラリーのページの飛べます。 - DANUBE GALLERY(Danube regional Project)
フォト・ギャラリーのインデックス・ページです。
追加情報
- 小辞典版推奨判定
- 「情報+知性 目標値8〜10」
- 簡単な情報 (シナリオによっては、ゲーム前ブリーフィングでプレイヤーに伝えるGM裁量をしてもいいかもしれない)
- ドナウ川の流域には、以下の10カ国が存在する。ドイツ連邦共和国、オーストリア共和国、スロヴァキア共和国?、ハンガリー共和国、クロアチア共和国、セルビア共和国、ルーマニア、ブルガリア共和国、モルドヴァ共和国?、ウクライナ。川長、2,858mでヨーロッパ第2位(第1位はヴォルガ川)。流域面積、816,951平方km。
- 19世紀に、航行権を巡り列強諸国が対立。1856年のパリ条約、1921年のベルサイユ条約を経て、国際河川としての管理方式が確立された。
- 小辞典版推奨判定
- 「操縦+知性 目標値10〜12」、「情報+知性 目標値12〜14」
- やや詳しい情報
- 河川用大型舟は、黒海〜レーゲンスブルグまで、マイン-ドナウ運河〜ライン川ルート〜北海、の間を航行可能。河川用小型舟は、上記大型舟航行可能流域に加え、上流域でレーゲンスブルグ〜ウルム間の航行も可能。
- ドナウ川に連絡している運河を利用すれば、ドイツ、ネーデルラントを経由して北海との間も運航可能。
- 小辞典版推奨判定
- 「歴史+知性 目標値10〜12」
- やや詳しい情報 沿岸には景勝地や中世城館、中世都市などが多い。流域まで含めると、新石器時代の遺跡やケルト遺跡なども多い。
- いわゆる、ダニューブ文化(ドナウ文化)の伝播経路。新石器時代末に、地中海沿岸部に広がったのとは異なったタイプの農耕、牧畜文化がヨーロッパ北部に広がっていった。
- この系統の文化のルーツとなった文化の形成については、考古学では「南東ヨーロッパ新石器時代末の生産革命」というアプローチで注目されている。
- 【参照地図】
- ドナウ川の流路略図(Wikimedia Commons)
GM向け参考情報
- GM向けの補足情報、マスタリング・チップス、アイデア・フックなど
用途
- 流域には湿地帯などもありますが、河川自体は人目が多い上、国際的な管理下にある水域です。派手なアクションには向かないでしょう。
この件は、PCにとってだけではなく、陰謀組織も意識しているものとした方がいいはずです。
特に、シュープリームは、普段彼らが採る戦術の多くが不可と制約されざるを得ないと思われます。せいぜい一撃離脱の強襲作戦が採れる程度でしょうが、隠蔽をしながらの撤収ルートの確保には工夫が必要なはずです。
異常な事態をおこすのが得意な銀の暁は優位にたてるでしょう、ついで、常に言動が非常識とも言えるセレスティアル・ゲート。龍三合も人目をはばかりながらの行動は決して不得手ではありません。 - もちろん、流域の遺跡と絡めてドナウ川を使うこともできます。オーパツの背景に絡めてもいいし。発掘中オーパーツに精神汚染されたらしいNPCが、ドナウ川経由で行方不明に、なんてシチュエーションもおもしろそうです。
- 残念ですが、シー・エクスプローラー級の船(ルールブックp168)では、航行できません。ミッション関係で、ドナウ川を航行する場合は、財団に小型舟を手配(一時貸与)してもらうか、ローズ・グループ系の水運会社の舟に便乗する、などが使い勝手がいいでしょう。
一般の客船を利用する場合は、自動車類は乗り捨てて、現地の財団関係者の人に引き取りに来てもらいましょう。
フェリーの類の有無は未確認です。周航していることにして構わないと思いますが、外洋ではないので、車輌収納スペースは小さい舟ばかり、とします。事前予約がなければ、運試し判定で自動車枠が開いてるかどうかを決めるくらいでどうでしょう。
- 登場しても唐突でないNPC
- 観光客、水運業者及びその取引相手(密輸業者、運び屋なども含む)、各国のドナウ交通管理当局関係者、環境学者、沿岸都市の住民、流域遺跡の研究者、などなど。
アイデア・フック
- シナリオ内で、ドナウ川流域の一部を舞台背景に利用する場合は、第1に景勝地や古都の多い観光地として利用、第2に活発な国際水運で人や物品の出入りの多いルートとしての使用が考えられます。
例えば、流域の遺跡をメインにしつつ、背景に昔から流れていたドナウ川の存在を絡める、という手もあります。例えば、場違いな遺物が過去に移送されてきたルートとして古代のドナウ川を絡めていく、などです。 - あるいは、人々の国際的な交流の場――例えば、沿岸都市や、船上での国際会議などの背景にも使えます。
- また、ドナウ川を航行する内陸舟を「舞台を提供する移動」(ルールブックp99)に使う手もあります。普段の高速移動と気分を変えてみるのも一興でしょう。
- もちろん、財団肝いりのオープン・ミッションだったら、最初から客船をクルーつきで借り切ったことにしても構いません。例えば、船上で関係者の特別な会議をするので、PCはその護衛、なんて場合。
- 普通のミッションで、急遽舟を利用したい場合は、富豪系のPCにがんばってもらって小型舟を借り切る、ユスティナに手配してもらう、などの手もあります。
- ドナウ川を、意外な場所に意外なNPCが忽然とあらわれる移動手段として使うこともできます。
- 各国人や、観光客の出入りが多いルートを使っての、陰謀組織NPCの追跡、なんてシチュエーションもあるでしょう。
- すでに挙がっていますが、沿岸都市や、船上での国際会議を護衛するオープン・ミッションもおもしろいでしょう。
- あまり目立ちたくないアイテムの取引の舞台なんて利用法もあります。例えば、国際的シンジケートから、財団がアイテムを購入することになった。あまり目立ちたくはないので、PCに取引の実際がまかせられた、など。
国際管理されている水域で、人目も多いことには要注意。 - あまり派手すぎるアクションをしてしまうと、後始末が大変。(モーター・ボートによるチェイスくらいなら、後始末もさほど大変でもないだろう)
- ヘリや、飛行機類で、川をいく船を威嚇したり停めたりしたらどうなるか? 相手の船籍や所有者によっては、財団に面倒な尻拭いを負担させることになるでしょう。PCは官憲のような権限はもっていませんから、あまり無茶をすれば、管轄国のドナウ管理当局にこってりしぼられます。1日くらい拘禁されれば、財団が手配して解放してもらえる、とか、そんなところです。
- 船上での銃撃戦や肉弾戦くらいならともかく、舟と舟、舟と飛行機での戦闘アクションをPC側から積極的におこなったら、1日の拘禁くらいでは済みません。人跡まれな秘境、ではありませんから、プレイヤーには、必ず、攻撃を受けたので正当な防衛をおこなったと証拠だてられるような行動が望まれます。
考察:PCは、飛行艇の類でドナウに着水できるか?
できますが、充分な理由がなければ、するべきではないでしょう。
この場合の「充分な理由」とは、まず、第1に流域の管轄国当局を納得させられる理由です。例えば、人命救助の類。
次に、ミッションに関連する非常事態で、他に選択肢がない場合は、やむを得ず着水ということもあるかもしれません。本来はやるべきではないですから、事前にミッションを発令したNPCに相談し、関係当局への手配を頼むことが望ましいでしょう。
この類の超法規的な行為を本部が容認するのは、「オーパーツ暴走などで、多大な被害が発生する可能性が高い、と説得できる場合」と考えられます。「陰謀組織が何か怪しげなことをしてるから」くらいでは、本部の容認は得られないでしょう。
ポイントは、PCは超法規的な特権をもってはいないし、官憲でもそれに準じる立場でもないこと。そして、オーパーツ、シャドウ・ウォーズ関連の背景事情は、財団本部には理解されても、各国当局には理解はされないこと、です。
カロンなら、ゾディアック・メンバーの特殊能力で、着水もしてくれるでしょう。ただし、彼は大型機にしか乗れませんから、着水できるエリアは限られます。シナリオに応じて地図をチェックして選定してください。着水に拘らなければ、国によっては流域に離着陸用エリアは簡単に見つかると思います。カロンの流域離着陸では、関係当局への折衝を彼が独自のコネで処理している、と考えます。
もちろん、アルカードなど適切なゾディアック・メンバーを使えば、PCでも一時的に超法規的行動をとれるよう、支援してくれるでしょう。(前提は、ミッション達成に沿った行動であることは言うまでもありません)
補足情報
- 【参照地図】
- ドナウ川の本流のみでなく全水系とその流域,United Nations Environment Programme
地勢
- ドナウ川流域に存在する国家の再整理
- ドイツ連邦共和国 → オーストリア共和国 → スロヴァキア共和国?-ハンガリー共和国の国境を縫うように東流 → ハンガリー領内 → クロアチア共和国-セルビア共和国国境部を緩く蛇行 → セルビア共和国領内 → セルビア-ルーマニア国境沿いを流れる → ブルガリア共和国-ルーマニア国境を縫うように流れる → ルーマニア領内 → ルーマニア、モルドヴァ共和国、ウクライナ3国国境が合する地点で流れを転じる → ルーマニア-ウクライナ国境を流れつつ支流に別れる → ルーマニア領のドナウ・デルタ?を経て黒海?に流入。
上流域の川筋と地勢
ドイツ連邦共和国南西端のシュバルツバルト山中から東北東に流出。シュバルツシルトからウルムの手前までは山地地帯を流れている。
レーゲンスブルク近辺で緩く屈曲、東南東に転じると、オーストリア共和国領に向かう。
レーゲンスブルクの手前(西南西)で、マイン川の源流、レグニッツ川との間を繋ぐマイン-ドナウ運河に連絡。この運河は、マイン川を経てライン川に通じる。ライン川は、オランダ領を経由して北海に流出。
ドイツ-オーストリア国境に接しているパッサウを経たドナウは、オーストリア領に入り緩く蛇行、ウィーンを経由した後、一旦、スロヴァキア共和国?領に流入。しばらくスロヴァキア-ハンガリー国境を縫うように流れる。この間は概ね東流。
ハンガリー共和国北部国境に接す都市、エステルゴムを過ぎたあたりで、ドナウ川は90°近く大きく屈曲し、後、ハンガリー領を縦断していく。屈曲点は、ドナウ・カニャール(ドナウ曲がり)と呼ばれる景勝地になっている。
中流域の川筋と地勢
ハンガリー領を通過したドナウ川は、クロアチア共和国とセルビア共和国との国境部を緩く蛇行した後、セルビア=モンテネグロ領内を流れる。セルビア共和国の首都ベオグラードの北西40kmほどで、東カルパティア山脈のウクライナ領内からハンガリー領を経て来た国際河川ティサ川が合流。
セルビア=モンテネグロ領を経たドナウ川は、ルーマニアとの国境部を流れる。ルーマニア-セルビア国境部の流れは、古くは急流が恐れられ、「鉄門」と呼ばれた。19世紀末に、急流部は人工掘削され、障害は取り除かれている。
セルビア領を離れた後は、ブルガリア共和国とルーマニアとの国境を縫うように流れ、黒海手前で沿岸丘陵に阻まれ北に転じる。南岸が丘陵地、北岸が平地という景観が続く。
下流域の川筋と地勢
ドナウ川は、ルーマニア東部でも黒海沿岸丘陵の西麓に沿って北流。ルーマニア、モルドヴァ共和国、ウクライナ3国の国境が合するあたりで再度、東に転じる。この付近では、両岸とも低湿地が優勢になる。
ルーマニア-ウクライナ国境を流れつつ3本の支流に別れたドナウは、河口部でルーマニア側に湿潤なデルタ地帯(ドナウ・デルタ?)を形成しつつ黒海に流入する。
沿岸の主な都市
- ドイツ領
- ウルム、レーゲンスブルグ
- オーストリア領
- リンツ、ウィーン(首都)
- スロヴァキア領
- ブラスチボ(首都)、シュトゥーロヴォ(国境に接した地方都市)
- ハンガリー領
- エストルゴム(国境に面した地方都市)、ブダペシュト(首都)
- セルビア領
- ノヴィサド、ベオグラード(首都)
- ル−マニア領
- ドロベタトゥルヌセヴェリン(国境に接した地方都市)、ブライラ、ガラツィ、トゥルチャ
- ブルガリア領
- ルーセ
- ウクライナ領
- レニ(国境に接した地方都市)
- 他にも沿岸には地方都市や古都も多い。
古代史などとの関わり
黒海沿岸で、紀元前6千年紀中頃に発生した帯紋土器文化(かつてドナウ文化と呼ばれたもの)は、ドナウ川沿いに伝播。ライン地溝帯を経て北フランス方面にまで広がった。流域には関連の遺跡が多い。
中流域沿岸には、B.C.4500年頃から成立した初期農耕文化などの集落遺跡が散在。
新石器時代時代にも内陸交易のルートとして用いられたことは、各地の遺跡からの出土遺物で証拠付けられている。
ケルト系のハルシュタット文化を営む集団が、西方に拡散していったルートと、かさなる部分も多い。
古代ローマ時代は、国境線の役を果たしたので、ローマ軍駐屯地の遺跡、ゲルマン族集住地の遺跡なども、流域で探せば、多分あるだろうと思われる。
別称類
主要国の言語
- 英語名=Danube(ダニューブ川)
- フランス語名=Danube(ダニューブ川)
- スペイン語表記=Danubio
- アラビア語名の音=(調査中)
- ロシア語名=Дунай(ドゥーナイ川)
- 中国語表記=多瑙河
その他
- ドイツ語名=Donau(ドナウ川)
「ドナウ」の川名は、ケルト系言語が語源。 - スロヴァキア語名=(調査中)
- マジャール語(マジャル語)名=ドゥナ川
- セルビア語名=(調査中)
- クロアチア語名=(調査中)
- ブルガリア語名=ドゥーナブ川
- ルーマニア語名=ドゥーンリア川
- 古典ギリシア語による古称=イストロス川
- ラテン語による古称=ダヌビウス川
舟での河川水運は古代ローマ以前から盛んだった。
リンク
関連項目
資料リンク
- Wikipedia英語版:Danube
- International Commission for the Protection of the Danube River
- ISEP(情報源データベース,地球環境研究センター)
補助資料
あれば便利な補助資料
+αの補助資料
(なくても平気だけど、あると面白い)
- 川の地理図鑑−人びとのくらしと自然−『ドナウ川』
- デイビッド・カミング 著、原 まゆみ 訳,偕成社,Tokyo,1995.
活用や検討
活用
- このページの記事を踏まえた、アイデア・フック、使ってみたシナリオ、セッション・レポ、などなど
- ドナウ川で洪水についての話題
ここにはそぐわないけど、とりあえず、シナリオ・フック用情報として、ここに置いてみます。
2006年4月12日SankeiWebの報道
4月18日現在、東欧諸国に被害拡大中。ルーマニアでは非常事態宣言とも聞く。
重要な改訂の情報
- 内容に追加、変更があった場合のみ、でいいでしょう。
(誤字脱字の訂正や、文章を整える程度では記録不要) - 2006-10-03 (火) 18:54:41 鍼原神無 : 「ドナウ水系流域地図」へのリンクを加えました。文章には手を加えませんでした。
検討
- このページの記事内容についての質問、重要な疑問、改訂の要望など
- 検討の項は記名記入を推奨(無記名記入は、随時書換え対象になりえます)
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